『自然と理想、ローマの風景 1600−1650展』蛙

グラン=パレ今年度初めの『フランス1500年展』は、ブルゴーニュ公国からブルターニュまでフランス全土に渡り、絵画、彫刻、工芸品等多彩な展示物で、中世からルネッサンス過渡期の姿を彷彿せしめていた。今回の『自然と理想、ローマの風景 1600−1650展』では、ちょうど一世紀後のイタリア、それまで従属的に扱われていた自然描写が主となり、風景画が誕生した頃の絵画作品に限っている。
そのため、似たような作風の絵が並び,素人の私には馴染みのない画家が多い。しかし、観客も少ないので、何時行っても、心ゆくまでゆっくり観ていることができる。一枚の絵を詳細に眺めたり、部屋の中央で、時には椅子に座り、四囲にゆとりをもって配置された大小の絵に、あてもなく眼を遊ばせたり。木々の葉擦れや白く波立つせせらぎの音が聞こえてくるような、青空を流れる白雲が突然眩しく輝くような,そして画面から野の香を運ぶ風がふいてくるようなーーー。
もちろん宗教、神話にまつわる幾つかの主題が、繰り返し現れてきている。その一つは、古代ローマの詩人オヴィディウスの『変身譚』に材をとっている。幼いアポロンとディアナを連れたラトヌに意地悪をした農夫達が、蛙に変えられてしまう。
全部で三枚あった。最初は、ピエトロ=パオロ=ボンジ(1573—1636)。森の中の小川の畔、頭だけを蛙に変えられた農夫と、身を宇寄せ合う母子が描かれている。二枚目は、フィリッポ=ナポリーノ(1580—1629)。比較的ひろびろと見渡せる河を中央に、子供を守る母親の側に赤い帽子を被った蛙、ズボンをはいた蛙。河に飛び込み、泳ぎ渡って対岸についた時は、全身蛙となりながら二本足で立って、周囲を驚かせている。『鳥獣戯画』の一場面にも似ている。
この二作は、比較的小さいが、最後の一枚は、とても大きい。ヘルマン=ヴァン=スワネヴェルト(1603/04—1655)。鎌を持った農夫が少し強面だが、登場人物達は、下のほうに目立たないくらいに描かれている。絵の前にたつと、まずその小暗い森、穏やかな空、流れ行く雲に眼がいって、その下で不思議な悲喜劇が起こっているとは思えない。広大な宇宙、自然の前に人の営みはかくも小さく、しかも、それにもかかわらず、その愚かしさと悪意とは、いずれ、自分自身に災いをもたらすということなのだろうか?
ふと考え込ませる絵であった。
ところで、京都の実家は、池の畔にあった。三方を小高い山に囲まれた洛北の小さな池には、浮き島があり、天然記念物にも指定される太古からの珍しい生態が残っていた。引っ越してきた年、やや蒸し暑くなりかけた五月闇を震わせて、ブワオー ブワオーと凄まじい音が響いて来た。池からだ。連夜、益々盛んなっていく。「牛蛙ですって」。近所で聞いて来た母も、実際、どういう生き物なのか、全くわかっていないようであった。
私も、まさか牛ほどとは思わなかったが、せいぜい土佐犬や紀州犬ほどの大きさの蛙が、浮き島の葦の間にうずくまって、眼をすえ、喉を膨らませている姿を思い浮かべていた。恐くはなかった。むしろ、辺りを支配するような声を聞いていると、安心して眠れるのだった。
ある日、池で釣りをしていた子供達が,牛蛙が、かかった といっているので見せてもらった。なあんだ。随分小さいーーー。子供達が池に放すと、ぽちゃりっと可愛い音を立てて落ち、すぐに泳いでいってしまった。
それでも、その後も、夜、底力のある声を聞いていると、どうしても池の主のような巨大な姿を想像せずにはいられなかった。
牛蛙の鳴く池を離れた時、我が家の運命も変わった。
今年も、そろそろ鳴いている頃だろうか。

日は落ちて名残の陽光ほの白く影絵めきたる巴里の屋根屋根


東北地震犬猫レスキュー.com

号外 8

以下、『被災地動物情報のブログ』さんより、転載させていただきました。

『2011-05-26 02:15:52
福島原発の白い犬

テーマ:原発避難区域の動物救済
※霧雲さんのブログより
http://ameblo.jp/kirikumono/entry-10903225754.html

福島県で目撃された首輪をつけた白い犬。

様子がおかしいと良く見ると、
前足と後ろ脚がありません。


それでも立ち上がり歩こうとします、生きるために。

動物は生きることしか知りません。
そして日本では人が生かそうとしないと動物は生きれません。

この子の存在を多くの方に知ってもらいたいです。


行政に届きますように。
神さまに届きますように。』

『2011-05-26 01:04:32
5月28.29日。被災地の狂犬病予防注射の無料接種を実施
テーマ:医療情報、獣医さんなど
※Pet Press.jpさんより
http://www.petpress.jp/news/detail_2280.html

静岡県の本間獣医科医院さんでは、
5月28,29日に各被災地で、
狂犬病予防ワクチン注射の無料接種を開催されます。

全国の動物病院としては最大規模の実施で、
無料接種の頭数は2,000頭を計画されているとか。

すごい、太っ腹!大感謝です!!!

・・・以下日程・・・

狂犬病予防ワクチン注射の無料接種ボランティア活動実施予定場所
<5月28日(土) 10:00~17:00>
・カインズ 亘理店(駐車場)
 〒989-2371 宮城県亘理郡亘理町逢隈鹿島字西鹿島17
・カインズ 仙台富谷店(駐車場)
 〒981-3328 宮城県黒川郡富谷町上桜木1-1-6
・カインズ 仙台港店(駐車場)
 〒983-0013 宮城県仙台市宮城野区中野字出花218

<5月29(日) 10:00~17:00>
・カインズ 郡山富田店(駐車場)
 〒963-8041 福島県郡山市富田町字上田向25-7
・カインズ 白河モール店(駐車場)
 〒961-0852 福島県白河市字転坂139-2
・カインズ 相馬店(駐車場)
 〒976-0036 福島県相馬市馬場野字雨田138
・カインズ いわき小名浜店(駐車場)
 〒971-8151 福島県いわき市小名浜岡小名字岸前53-1
・ドイト ラパークいわき店(駐車場)
 〒970-8044 福島県いわき市中央台飯野4-1

【関連URL】
本間獣医科医院
http://www.petclinic.co.jp/ 』

以上、二件、転載させていただきました。
いつも、有益な情報をありがとうございます。
白い犬さんが、救われますように。
一匹でも多くの犬さんが、狂犬病の予防接種を受けにくることができますように。


東北地震犬猫レスキュー.com

まぼろしの馬 (二)

(承前)
ピトウーの思い出を書こうとして、以前書いておいた原稿が文箱から出て来た。
それを、略そのまま写す事にした。


『 井戸池のピトウー

A町から井戸池に行くのには、二つの道がある。一方は、街道沿いモンベール伯爵家の所有していた城のあるAr---村経由。もう一方は赤煉瓦の小さな家の並ぶ小村セルドン経由。どちらも両側に牧草地と森の続く曲がりくねった道を車で二十分程走ると、広々した水面の見渡せる堤に出る。堤はコンクリート製。ソーローニュの深い緑の中、一キロ四方を占めるこの池は、ナポレオン三世時代、隣接する運河の水を調節するために作られた。かつてペイ=フォールの肥沃な土をソーローニュの痩せ地に運ぶ平底船だけが、利用していた幅二メートルにも満たない小運河は、今では水門も塞がれ一面の緑の藻が浮かび、鴨の格好の遊び場。井戸池は、キャンプ場、水泳場などもでき、夏は水上スキやヨットで賑わう観光地となった。池の三方を囲む木立の中は、砂州あり、葦辺ありの水辺同様、かなり変化に富んでいる。馬で回れば、一時間余り。丁度対岸から出発して、比較的疎らな林を抜け運河沿いに暫く駆ければこの堤に着く。季節には、かなり車が多いので慣れない馬は、少し興奮する。再び,森の中、一気に窪地に降り,今度は左右から差し交わす枝に頭を下げながら速駆等をして、やがて人気のない入江に出る。波打ち際で馬が水を飲む間、光の揺れる漣を眺めて一休み。後は、ゆっくり白樺なども混じる木漏れ日の明るい小径を辿って帰ってくる。
そのため、この堤のすぐ下にある農家には、長い間気付かなかった。春に水鳥を見ようと久しぶりに訪れて、垣根で囲った農家の裏庭とおぼしい草地に思いがけず馬を見かけた。悠然と草を食んでいる。栗毛の姿のよい馬だ。足元に鶏が数羽まつわりついている。雄鶏が時ならぬ刻を作った。馬は、ちょっとこちらを見て気のなさそうにまた草を食みだした。
数軒先に『チーズ』の看板が出ているので、牛小屋につづく中庭に入ってみた。三十代ほどの、鄙には稀な、はざはざした婦人が、手作りの山羊や牛のチーズを包みながら言うのには、馬はまさしくこの家のもので、「ピトウーというのですよ、七歳。あれの母親には乗れたのですが、あれは、鞍など我慢しないのですよ」。それでも、可愛いからああして何もさせないで一緒にくらしているのだそうだ。
以来、田舎に滞在する間、チーズは井戸池で買う事となった。ほぼ毎週一度、林檎をもってピトウーに会いに行く。初めは呼んでも知らぬ振りだったが、そのうち名前を聞くと、馬小屋にいても一声高くいなないて、出てくるようになった。なかなか我が儘娘で、林檎を次から次へと欲しがる。やらないと、袖を引っ張って催促する。空になった袋をふって見せると、やっと納得したらしく、二,三度大きく頭を振る。いつも、ひとりで淋しくはないかと思ったら、「一度、他の馬を連れて来たのですけれどねーーー」、怒って大変だったそうだ。車が出発するまで見送って、くるりと向きを変え、鶏達を従え、また庭の奥へと帰って行く。
それにしても『ピトウーの家』のチーズは美味しいと、来客の間でも好評だ。』

夏草をふみしだきつつ走り来る馬の背なより一匹の蝶

その後。
『ピトウーの家』のご主人は、田舎の家のあるA町の銀行員であった。行員が二人か三人程の小さな銀行。もつれたような濃い眉の、やや反っ歯ぎみで小太りの彼は、いつも愛想がよく親切だった。どういう拍子であったか、井戸池の話となった。チーズを褒めた。嬉しそうだった。奥さんの里が、農家だそうである。美しい奥さんを褒めると、ますます顔をほころばせたが、ふと、眉をひそめ、「家内は、心臓が悪いのです。一度手術しましてね。」
数年後、『チーズ』の看板が、下ろされていた。まだ中学生の子供達を残して奥さんは、亡くなった。
ピトウーも、病を得て旅立った。馬としては、若死にであった。
栗毛の馬のいた裏庭には、一層草が茂っていた。  


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号外 7

以下、福島県双葉町ペット救済 (5月26日、27日)のお知らせ、
『被災地動物情報のブログ』さんより 転載させていただきました。
周知 ご協力御願いいたします。

『2011-05-20 22:39:37
双葉町から一時帰宅時のペット救済のお知らせ!!

テーマ:原発避難区域の動物救済
※双葉町公式ホームページ
http://www.town.futaba.fukushima.jp/renraku_pets_hogo.html

5月26日と27日に一時帰宅が実施される双葉町の公式ホームページに
一時帰宅時のペット救済の告知が掲載されています!!!

またペット救済とは関係ありませんが、
ホームページに掲載されている
「双葉町町民の皆さまへ」をぜひ読んでください。
http://www.town.futaba.fukushima.jp/pdf/20110509mesagge.pdf

インターネットを使えない環境や
高齢者の方も多いと見ます。

どうぞペット救済周知にご協力願います!!

・・・以下双葉町公式ホームページより・・・

■一時帰宅の際のペット(犬・猫)の保護・収容について
 警戒区域への町民の皆さまの一時帰宅にあわせて、
環境省と福島県によるペットの保護、収容を行うことになりました。
 つきましては、皆様方のペットの保護・収容がスムーズに行えるよう、
「一時立入り受付センター」にご連絡した際に、
飼育されているペットの情報もお伝えください。
 ◆一時立入り受付センター  
電話:0120-208-066◆

※お知らせいただきたいペットの情報

・犬、猫の飼育頭数
・避難時の飼育形態
(室内・屋外でつながれている、屋外で放されている)

※ペットの保護活動は、次のように行います。
一時帰宅される方が直接ペットを持ち出すことはできませんが、
皆様方のご協力をいただければ、
行政側で保護した上で、お預かりすることを予定しています。

(1)犬については首輪にリード(引き綱)または鎖を付け、
玄関先、または庭先などの人目に
つきやすいところにつないで、餌を与えておいてください。

(2)猫の場合はキャリーバッグ、または金属製の檻に入れて、
犬と同様に屋外の人目につきやすいところに置き、
餌を与えておいてください。

(3)一時帰宅終了後、中継地点まで戻られましたら、
犬・猫の保護状況について、
その場で聞き取りを行いますので、ご協力をお願いします。

(4)これらの保護情報をもとに、
行政では翌日にペットを保護して
20km圏外の安全な場所でお預かりし、
後日、皆様が引き取ることができる時まで飼育・管理をいたします。

※つなぎとめに必要な首輪等の資材、餌は飼い主さまご自身でご用意ください。
※事情により、引き取ることができない場合には、
行政側で保護・回収した上で、新しく飼ってくださ
る方を探して譲渡しますので、ご協力をお願いいたします。
※所有者の方のお名前・ペットの名前・
双葉町の住所・現在の滞在先・連絡先(電話番号)などを
記載したものをペットの近くに置いていただけると、
保護した後の連絡がつきやすくなりますのでご協力ください。

◎次のことは必ず守ってください。
〇今回対象となるペットは、犬と猫に限ります。
〇作業は一時帰宅に認められた制限時間内(2時間以内)で行ってください。
時間厳守でお願いします。
〇ペットの死骸を持ち出すことはできません。


お問い合わせ先
福島県保健福祉部食品衛生課
電話:024-521-7242(直通)』

以上です。ありがとうございました。
href="http://tohoku-dogcat-rescue.com/">
東北<br />												 
		</div>
		<ul class=
  • 2011-05-21 :
  • 号外 :
  • まぼろしの馬 (一)

    何故、馬を好きになったのだろう。
    幼い頃から馬が側にいる環境、というのではなかった。かなり大きくなるまで、馬を見た事もなかったように思う。
    始まりは、多分、童話雑誌『びわの実学校』。今、手元にないので題も正確な内容もわからないが、翻訳物であった。小さな二枚の線描の挿絵だけは、はっきりと覚えている。一枚目は、若者を乗せた白馬が、海原を全速力で、こちらへ駆けてくる。鬣を靡かせ、鼻を膨らませ、細い四肢が宙に跳ぶ。背後から、魔物が高波となって追いかけてきている。馬は、若者を、その愛する娘の住む浜辺まで届けると、力尽きて倒れてしまう。二枚目には、翼が生えて天に召されて行く馬と、それを見送る二人の姿。主人の幸せのために、ただひたすら走り抜き、命を捧げた馬が、哀れでたまらなかった。
    次は、『まぼろしの白馬』(エリザベス=グージ)。インターネットで確かめてみると、岩波少年文庫や福武文庫からもでているようだが、私が持っていた 父の出張土産の本とはあきらかに違う。というのは、その単行本の挿絵は、うろ覚えの今思い出しても、実に独特であったから。いわゆる可愛い絵ではなかった。眼ばかり大きく表情豊かな人物や、動きが感じられる馬や猫など、黒々と大胆な筆致が幼い眼にも、印象的だった。内容も、主人公の少女の他に、一組の中年男女が登場し、人生の複雑さを垣間みさせた。一角獣の白馬と、どういう関係があったのか。すっかり忘れてしまっている。しかし、その不思議な生き物の現れる深い霧に包まれた森、古い館、大理石の調理台、そこを歩き回る青い血の流れる高貴な猫、窓辺に並んだ鉢植えのゼラニューム、ヘリオトロープの香る庭園。総てが、歳月を経たもののみに囲まれて暮らす、淡々と落着いた静かな日々を伝えていた。
    恐らく、ほぼ同じ頃、英国映画『野に駆ける白い馬のように』を観た。イギリス田園地方の美しく厳しい風景。白い馬。外界に心を閉ざした言語障害の男の子。後に『小さな恋のメロディー』で、有名となるマーク=レスター主演であったが、私は、この映画の方が、内容も音楽も遥かに好きである。内に閉じこもりがちで、現実から逃れることばかり空想していた自分と似ていたからかもしれない。
    先日、四十年ぶりで『ゆうつべ(ユーチューブ)』で、映像の一部を見、主題歌を聴く事ができた。長年、心の中だけで思い出していた旋律を実際に聞くのは、不思議な気がした。しかし、白い馬が、顔を少年の頰に寄せる場面では、実際に、馬の鼻梁の天鵞絨のような手触り、息の暖かさを知った今は、子供の頃とちがって、その感覚がまざまざと蘇ってきた。
    こうした思い出のためか、渡仏後、田舎の家のあるA町の周辺で馬を見かけた時も、すぐに親しみがわいた。
    その中に、『井戸池のピトウー』がいた。

    野いばらの 花うすあかく 並足に
                                    続く



    東北<br /><br /><a href=にほんブログ村 猫ブログ 猫 海外生活へ

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