目次 七

目次 七
自2012年3月至同年4月

284 『ガストン=フェビウス』展 クリューニー美術館
285 『エルナニ』(ヴェルディ)
286 黄色い首輪の猫さん
287 『毛糸を繰る少女』(グルーズ)
288 八重桜
289 『漆の夢』展 セルヌスキー美術館
290 結髪
291 『バヤデール』
292 プールの猫さんと林檎の花
293 一匹の猫が幸せになるには。
294 『聖アンヌ、レオナルド=ダ=ヴィンチの最後の傑作』ルーヴル美術館
295 ラテン区
296 優しい夢
297 織物と相馬焼
298 『蒙古、二つの時代の間、1912−1913』展アルベルト=カーン庭園
299 A小母さんと織物
300 『イギリス文学史』斎藤勇
301 抱っこ猫
302 抱っこ猫真心子ちゃん


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目次 六

目次 六

自2012年1月至同年2月
260 ガルニエ劇場の大晦日
261 雪のフェビウス
262 猫の寝姿
263 雪のフェビウス(二)
264 『ドイツルネサンスの画家達』(土方定一)
265 子供と犬
266 トーユーを偲んで
267 トーユーを偲んで(二)
268 『サムライ』展
269 この頃の孫猫真心子
270 『美、心、官能、オスカー=ワイルドの英国』展
271 『アレクサンダー大王の王国 古代マセドニア』展
272 『マスネー歌曲』の夕べ
273 ロッテルダム交響楽団演奏会
274 南仏と歌劇 
275 『花のオランダ坂』
276 洋蘭
277 『晩鐘』ミレー
278 初雪
279 『能の世界』講演会
280 狂言の笑い
281 シャンゼリゼ劇場の猫
282 薩摩琵琶演奏会
283 如月の色
284 空の諧調
285 風に揺れて
286 水仙
287 ピアノのジョゼフィーヌ
288 『ポンペイ』展マイヨール美術館
289 『ドンパスクワーレ』ドニゼッティ


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薔薇との約束

八月も終わりに近づいて来た今日此の頃、一年にそう何度もないのでは、と、思う程、気持ちよい日がある。陽射しは、明るく輝いているけれど、暑くはない。空気は、春の湿った物憂さとも違って、軽く爽やか。二間続きの二階の部屋の窓は、どちらも小さいけれど、網戸にしておくと、風がさらりと通り抜けて行く。
昼食後の一時。孫猫真心子を側に、本を繙く。お行儀の悪いのは承知で、寝台に横になる。真心子は、柔らかな前足で私の膝を押さえている。
ディッケンズ特有の繰り返しの多い文体が、気になり、最初はなかなか好きになれなかった『二都物語』。佳境に入ってからは、謎解きのようで面白い。
このまま読みふけっていたいけれど、何か忘れている。
薔薇との約束。
今朝、水まきの時、根元が少し浮き上がっているのに気付いた。土は、買ってあるから、埋めてあげるわね、と声をかけておいた。
五本ある薔薇は、どれも葉付きが少なく、ほっそりしている。花も少しづつまれにつけるくらいだ。
一年の大半、巴里に居る間は放ってあるのだから、寧ろ、それでも毎年健気に咲いてくれて、有り難い。夏の間だけでも、思い切り甘やかしてあげないとーーー。今年は、思いがけず珊瑚色の古株が、一度に三輪咲いてくれた。これはおばあちゃん薔薇と呼んでいる。もう一本の、これも古い白薔薇は、おじいちゃん薔薇。高砂の尉と姥。ミニ薔薇は、何度も枯れそうになりながら、鴇色の小さな花をつけてくれた。新入りの蔓薔薇は、咲いたかと思うと、散り始めてしまうが、目に鮮やかな濃い赤。反対に暈しは、最初、象牙色だが、日に日に紅が縁から内側へ広がっていく。やがて、色が薄くなっても、香りはよい。
薔薇夫々にも個性があるらしい。
真心子の足をそうっとはずして、起きる事にした。
花達との約束を破る訳には、いかないから。

夏蝶の輪舞やがて空に消え


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この頃の真心子ちゃん

孫猫真心子ちゃんが、ある朝、田舎の家の庭に現れて、一ヶ月もたたぬうちに家猫となってから二年が過ぎた。相変らずあんじゃもんじゃ。七歳の祖母猫とは思えない遊び好き。来客にまで抱かれて、「この猫、誘拐されてしまいますよ。」と、言われたり、一年で600グラムも太って、獣医さんに注意されたり。抱っこ猫どころか肩乗り猫だから、減量は私のためでもあるのだけれどーーー。
今年も、道中啼きづめ啼いて、到着した田舎の家では、鉤なりに二間続きの二階を自由に使っている。
風にそよぐ月桂樹や、お隣の屋根の上に来る小鳥がよく見える窓框、長椅子替わりの子供用寝台の上やその下、籐細工の椅子では、時々爪研ぎもしたり。暑さによって、板の間と、扇風機の当たる場所とを選んでいるらしい。鈴のついた小さなぬいぐるみの猫を噛んだり舐めたりしている小さな音がとだえたかと思うと、いつのまにか、かかえこんで眠っている。
去年までは、大寝台の枕元の端で眠っていたのに、今年になって真中でも眠るようになった。「真心子ちゃん、何だか偉そうね。本当は、そんなに偉い猫では、ないのよ。亜子ちゃんに比べたら、おつむが弱いんだから。」と言われても、おっとりのんびり。だから、留守にする時はいつも、定位置枕の上の上の天使猫亜子ちゃんに、よろしくね、と御願いして出る。
暖かい場所、涼しい場所は、猫に聞け」というけれど、本当にその時その時によって、寝場所を変えている。但し、私が、落着いて本を読んだり物を書き始めたりすると、いつのまにか側に来て横たわっている。
頼りない程細く柔らかな灰色の毛に包まれた温かな生き物。その寝息を聞いているだけで心が安まってくる。

猫の尾の動き見つめて秋立ちぬ

真心子より
まだ5キログラムに、100グラム足りませんよ。


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プールの蝙蝠さん

「見たこと無いなんて、そんな筈ないで。蝙蝠を。」
友人は、丸い目を益々丸くして言った。いつもの一寸甘やかすような、からかうような調子で。
「夕方なってから、ひらひらひらひら、よく飛んでいるだろう。」
「燕みたいに。」
「いや、もっと速く。」
始まりも終わりも覚えていない会話だけれど、多分、私は、納得しないままだったと思う。大学へ通ってくるのに、電車を二回も乗り換えるような他県の山中の新興住宅地に住んでいるのだから、あの辺りには、沢山いるのかもしれないけれどーーー。というのも、蝙蝠は烏くらいの大きさだろうと、漠然と想像していたからだ。丁度、家の前の池で鳴いている牛蛙が、柴犬ほどだろうと、思っていたように。
しかし、いつの間にか、黄昏時から数羽群れて飛ぶ雀ほどの不思議な生き物を、「ああ、蝙蝠。」と、思うようになった。陽が落ちて、裾の方だけ茜色に染まり、寂しいほど澄んだ蒼が次第に濃くなる空に、影だけのように素早く動く姿は、幻めいて美しくさえあった。
その蝙蝠が、プールに来た。A町外れの公営屋内プールは、森の緑をそのまま残した広い公園の一角にある。朝十一時、人も少なく、快調に泳いでいたら、突然キーキーっと、鋭い声が聞こえてきた。また、去年の『プールの小鳥さん』(前述)のように迷い鳥が、入ってきたのかと、泳ぎをやめて天井を見上げる。上下にせわしなく、停まろうともせずに飛び回っている。
「小鳥」
「いや、蝙蝠だ、蝙蝠だ」
と、誰かが言っている。
「マミー(おばあちゃん)、恐い」
ふっくらした頰の十歳くらいの女の子が、隣の初老の婦人にすがりついた。
「恐がらなくてもいいのよ。」
女の子によく似た婦人は、にっこり笑っている。
「蝙蝠は、何も悪さをしないのよ。昔は、皆、いろいろ間違ったことを言っていただけなのよ。黒猫とかもね。ねえ、そうでしょう。」
と、婦人は横にいた私に振り向いた。ちょうど、自然科学の雑誌で、蝙蝠の特集を読んだばかりなので、この不当に嫌われていた、実は、なかなか愛嬌さえある小動物の名誉回復に自信を持って、頷く事ができた。
「それに、中国や韓国では、蝙蝠は幸福の象徴なのですよ。」
と、これは以前ギメ美術館でみた『韓国文房具美術展』で、覚えたことだ。
「中国語では、蝙蝠と幸福と同じ発音なのだそうです。だから、いろいろな工芸美術に使われていますよ。」
「あら、いい事を聞いた。」
と、婦人。
「娘が一人、田舎で暮らしていて、夜は窓を開けて眠るの。そうすると蝙蝠がきて、娘夫婦は、蝙蝠と同じ部屋で寝ているの。幸せと一緒なのね。」
女の子も婦人の腕に手をかけて、頰をくっつけて嬉しそうに笑っている。こういうおばあさんがいる子供は、きっと動物にも優しい善い子に育つだろう。
さて、蝙蝠は、と見上げたら、もう居なくなっていた。プールの女館長が、一泳ぎするのか、水着姿で、通りかかったので聞いてみる。
「出て行ったみたい、扉を全部開けたから。でも、なんで今頃———。きっと寝ぼけていたのね。何処か、暗い所で、また寝ているわよ。」
時には三千メートル泳ぐという元気な館長は、陽焼けした顔で笑った。
そういえば、今朝は、雲一つ見られない程快晴の真夏日だ。

もののかげくきやかな真昼白樺の幹は真白に梢そよぎぬ


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