プールの猫さん 秋

田舎から巴里に戻って二週間後、やっとブーローニュの森のプールに行く事ができた。
それは、珍しく晴れた日曜の朝。硬く澄んだ青空。あらかた葉を落とした橡の並木の梢をかすめるように、白い雲が、ゆっくりと流れて行く。今年は、雨の多い十月だった。森の雑木の黄葉も、金色に輝く間もなく散り敷いて秋霖に濡れている。
プールに隣接する競馬場の工事は、入り口まで続く地下道にも及んでいた。つくりかけの硝子の壁で、幅が半分となっている。地上に出る。かつて芝生のひろがっていた一帯は、掘り返され,赤土のまま。粗雑な立ち入り禁止の柵の向こうには、機械が放置され、空き缶や紙くずも見える。
工事の始まる直前、五月に引越して行った管理人さんが「滅茶苦茶になるだろう」と、言っていた。彼がいた頃は、手入れの行き届いていた官舎の庭も、寂しく荒んでいる。冬枯れ近いとはいえ、彩り一つない。ただ、伸び放題の蔓薔薇の蔓の先に、鴇色の薔薇がほころびかけていた。初夏、『プールの猫さん達』(前述)が、寝そべっていた敷石の間にも、雑草が生えている。
それでも、芝生の上に、プラスチックの容器が置いてある。だれか、餌を与えてくれているのだろうか?
官舎の周囲には、基部を十センチほどのセメントで固めた金網が巡らされ、その内側に、柘植にも似た,細かい葉の生け垣が設えてある。既に疎らとなった、生け垣の下から覗く。
突然、目の前に黒白猫の顔が飛び出した。天使猫亜子ちゃんよりも黒の多い、鋭い逆三角形の顔。管理人さんが、「好奇心旺盛でね」と、笑っていた一番馴れていた娘猫。 生け垣の下で、寝ていたのだろう。 逃げもしないで、凝っと見つめている。
それから、おもむろに踵を返すと,庭の入り口の金網の扉の方に来た。全身が、よく見える。痩せてもいない。管理人さんが心配していた片目も綺麗だ。よく目やにが出ていたが、杏仁形のつり上がった目が、はっきりしている。
用意してあった餌を生け垣の陰に置く。すぐに食べに戻った。細い黒い尾が見える。
泳ぎ終わって、再び庭を差し覗く。やはり、居た。
入り口近くまで、来て、きちんと坐った。見送ってくれるかのように。

梢重く白きりんごの花盛り幻にたつこの秋の朝


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