プールの猫さん達 秋(二)

ここ数日の天気の変わりやすさ。 朝の内、浅葱色の空から金色を帯びた陽光がさしたかと思うと、白い雲が一刷毛、二刷毛、広がり初め、陰晴定まらないままに午後を迎えて、夕刻には雨となる。
あまつさえ先日は、昼過ぎ、突然の乱拍子。眠っていた真心子も顔をあげて、窓の外を見つめた。大粒の雹が、半透明の線となって、降っていた。雹は、始まったと同様、ぴたりと止んだ。後には、つかのま青空さえ覗いた。
ブーローニュの森のプールへ向かった。数分の雹に、辺り一面濡れていた。
庭木戸から差し覗く。真っ黒な猫が、通路に坐って、こちらを見ていた。横に丸い顔だ。逃げはしない。引越して行った管理人さんが、「時々黒い猫がくるけれど、あれは雄みたいですよ。どうも父親ではないかな」と、言っていた。生け垣の陰に餌をおいておく。
一泳ぎしてから、再び生け垣の辺りへ。先ほどの餌を食べたかと、不用意にかがみこんで手をのばしたら、虎雉猫が、飛び退いた。母猫だ。一瞬、こちらをみつめ、また食べ始めた。黒白猫も、家の方から駆けて来た。母猫は譲る気もなさそうに悠然と食べている。もう一皿用意する。黒白猫は、慣れた風に待っている。
顔を見るとにゃあにゃあ、如何にも猫らしい鳴き声で催促する母猫と、じっとものいいたげに見つめる娘猫。 二匹とも管理人さんのいた真ん中の家の玄関前によく坐っている。彼は、奥さんが、猫嫌いなので遠慮しいしい、そこで毎朝そっと牛乳をあげていると言っていた。
僅か半年、四季折々の花が絶える事のなかった庭は、見る影もないが、それでも、濃い紅薔薇が、小さいながら数輪咲いていた。曇り空に伸びる蔓の先には、淡い鴇色の薔薇が、風に微かに揺れていた。

つかのまの輝き欅黄葉して

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