プールの猫さん達 雪(二)

(承前)
脚を早める。此処で、転んではいけない。
「急ぐ時ほど、慌てない」母の言葉を、繰り返す。
作業員らしき三人は、張り紙のしてある正面扉ではない、一番脇の扉の取っ手を軽く捻って出て来る所だった。鍵もかかっていなかったらしい。皆、がっしりと小太りの白人達だ。知っている顔ではない。
出会い頭に、
「プールは閉まっているよ」
「ええ、でも泳ぎにいくのでは、ないの」
「———」
「中に猫達がいてーーー」
三人は顔を見合わせた。一瞬の沈黙。
先頭の年かさの男が苦笑して
「何も、見なかった、見なかった。扉閉めといてよ」
「どうも、ありがとうございます」
思わず最敬礼。
猫達は、すぐに飛び出て来た。 二匹とも、脇目もふらずに食べている。 カリカリ、いい音がしている。娘猫も遠慮していない。容器を移動しようと手を出すと、前足で手の甲を軽く叩きさえした。
あの三人が入れてくれたから、こうしてお腹一杯食べている。
思わず涙ぐみそうになった。そして、こういう涙は流してもいいと、流れるままにした。
翌日、プールの従業員に予備の餌を届けに行く。顔見知りがいるといいのだけれどーーー。
出て来たのは、初めて見るがっちりと太り肉の若い女性一人。眉の脇や唇の下に待ち針のようなものを挿している。世代の違いを感じる。一瞬ひるんだ。とりあえず餌を見せる。
破顔一笑。
彼女は、三匹目も時々見掛けると言っていた。

生け垣に雪残りけり北向こう

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