石榴

渡仏して来て、初めて食べるようになった果物の一つ、石榴。冬の一時期、青物屋の店頭を彩る。山と積まれた林檎や蜜柑よりも、多少値が張る。詰め物をした箱に行儀よく並んでいる。拳大で、黄色と赤が斑になった固い表皮に覆われている。一見無骨だが、中には鮮やかな紅の透明な小さな種が詰まっている。ルビーのように繊細で美しい。甘酸っぱく爽やかな果汁が一杯。
「花も綺麗なのよ」
と、国際電話の向こうの母。
「T先生の下宿したお家にあったのよ」
母が、T先生と呼ぶのは亡くなった父の事だ。それも、多くは結婚前の思い出を語る時だ。私が生まれてからの父の事を話す時には、『おとうちゃん』が通常だから。小さな地方都市、一つしかない大学研究所に勤めていた父には、これも一つしかない女学校に通う妹がいた。彼女と母の五つ上の姉が同級生だった。
「お友達だったの」
「ううん、Kさんは、あんなおしゃべり、恐がってちかよらなかったみたいよ」
後にピアノの教師となったK叔母は、猫好きで、静かな線の細い人だったらしい。人が善くて、いつもちょっと首を突き出すようにして、ひたすら楽しそうにおしゃべりしていた母の姉をあきれて眺めていたのだろう。同じ級に、父やの下宿先の娘Sさんもいた。

黒々し辛夷の枝先芽吹きそめ冬の夕暮れ雨の静けさ

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桐の葉も

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