野菊の帛紗

京都に帰っていた友人から、御土産と、帛紗が送られて来た。
曙色、それとも秋の夕焼け色とでもいうのだろうか。一隅がごく淡く暈してあり、そこから野菊が数本、大きく手描きで描いてある。花弁は、やや濃いめの薄紫の濃淡、緑の葉も陰影をつけてしっかり塗ってある。そこに更に沈んだ朱色で 小さな実をつけた細い草が数条添えてある。
「おばあちゃんが、一人で坐ってはる、今にも潰れるんちゃうか、というような小さなお店」で、懐紙を求め、帛紗も、買ってあげたかったけれど無いというので、一保堂さんで聞いて、寺町を少し下がった古美術茶道具商でーーー。電話で、話を聞いた時から、想像していた通りの帛紗であった。東山の見える、馴染み深いあの辺りを、自分も歩いているような気持ちになる。
江戸風の粋と異なり、はんなりというのは、上品でいながら、うっかりすると派手さと紙一重の、微妙で、不可思議な美意識だ。見ていると、のびやかに明るくなる。それでいて飽きない。
新京極の賑わいよりも、中京のしっとりした界隈が好きという、京都生まれで京都育ちの人だからこそ、選んでくれた図柄。
友人は、今、スイスに住んでいる。
秋のアルプスには、どのような花が咲くのだろうか。

いつかまた秋の嵯峨野の黄昏の空に消えゆく一ひらの雲
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桐の葉も

Author:桐の葉も
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