薔薇との約束

八月も終わりに近づいて来た今日此の頃、一年にそう何度もないのでは、と、思う程、気持ちよい日がある。陽射しは、明るく輝いているけれど、暑くはない。空気は、春の湿った物憂さとも違って、軽く爽やか。二間続きの二階の部屋の窓は、どちらも小さいけれど、網戸にしておくと、風がさらりと通り抜けて行く。
昼食後の一時。孫猫真心子を側に、本を繙く。お行儀の悪いのは承知で、寝台に横になる。真心子は、柔らかな前足で私の膝を押さえている。
ディッケンズ特有の繰り返しの多い文体が、気になり、最初はなかなか好きになれなかった『二都物語』。佳境に入ってからは、謎解きのようで面白い。
このまま読みふけっていたいけれど、何か忘れている。
薔薇との約束。
今朝、水まきの時、根元が少し浮き上がっているのに気付いた。土は、買ってあるから、埋めてあげるわね、と声をかけておいた。
五本ある薔薇は、どれも葉付きが少なく、ほっそりしている。花も少しづつまれにつけるくらいだ。
一年の大半、巴里に居る間は放ってあるのだから、寧ろ、それでも毎年健気に咲いてくれて、有り難い。夏の間だけでも、思い切り甘やかしてあげないとーーー。今年は、思いがけず珊瑚色の古株が、一度に三輪咲いてくれた。これはおばあちゃん薔薇と呼んでいる。もう一本の、これも古い白薔薇は、おじいちゃん薔薇。高砂の尉と姥。ミニ薔薇は、何度も枯れそうになりながら、鴇色の小さな花をつけてくれた。新入りの蔓薔薇は、咲いたかと思うと、散り始めてしまうが、目に鮮やかな濃い赤。反対に暈しは、最初、象牙色だが、日に日に紅が縁から内側へ広がっていく。やがて、色が薄くなっても、香りはよい。
薔薇夫々にも個性があるらしい。
真心子の足をそうっとはずして、起きる事にした。
花達との約束を破る訳には、いかないから。

夏蝶の輪舞やがて空に消え


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