幸せになったルードウードウー

例によってRとLの発音の違いは難しい。これは、ROUDOUDOU。
A町外れのプールの常連に、いつも一緒にくる中年の一組がいる。背が高く痩せぎすの男性と、小柄で丸顔の女性。いつの間にか挨拶を交わすようになった。巴里サン=ジェルマン地区にそれぞれ画廊を持ち、A町近隣の村に休暇を過ごす家があるという。
親しく話すようになったのは、時々白いマルチーズ風の犬と白黒斑の兎を連れて来ていたからで。犬はトト、兎は勿論アリス。
今年再会して開口一番、二匹の消息を尋ねた。
「アリスは、元気だけれど、トトは旅立ったの。老衰で。また新しい犬が、いるわ。トトと一緒で、動物愛護協会から来たの。」
それが、ルードウードウー。
何と言ったらいいのだろう。『ぶさ可愛い』の典型。少し大きめの小型犬。尖った小さな顔に、大きな細い三角形の耳がぴんとたち、黒く円な瞳は出目気味。薄茶色の短毛はごわごわと固いのに、よく抜けるそうである。身体の割に細く短い、がに又の脚。十一歳のお爺さん犬。ほとんど吠えず、アリスとも大の仲良し。
「この間は、関節痛で痛がって大変だったの。今日みたいに、お天気で暖かいと、調子がいいのよ。」
プール脇の桐の並木に繋がる草地を、歩いている。ひょこりん、ひょこり と。
———ああ、やはり年なのですね、と、口にでかけた時、
「ね、可愛いでしょう。踊っているみたい。」
尾を巻き上げた後ろ姿を見守りながら、婦人は、目を細めて言った。
少しでも滑稽とか剽軽とか、思った自分が恥ずかしかった。
一回りするとルードウードウーは、自分から車の助手席に乗った。軽やかにとはいえないが、前足を掛け、一生懸命跳び乗った。後ろの席には、ルードウードウー用の布製の寝床が用意してあるが、其処には、余り行きたがらないという。
「いつも、側にいたがるの。もう一度捨てられるのが、恐いらしいわ。」
「何年、愛護協会にいたのですか。」
「六年。」
「———。」
「誰にも貰われずに命を終る犬達も、沢山いるのよ。」
柔らかな座布団にすがりつくようにして目をほそめているルードウードウーの小さな腹を、秋の陽射しが暖めている。

秋晴るる森の木陰をゆくままに空の彼方へ行き過ぎの事


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