『大原新雪』向井潤吉

メールが普及してから、戸口まで郵便物を運んでくれる管理人さんの足音が遠ざかっても、急いで扉を開けてみる事をしなくなった。おおかた、宣伝や公共料金の通知だから。
それが、今朝は、一枚の絵葉書。向井潤吉『大原新雪』。大原は、老母(と呼んでももう怒られないだろう。84歳になった。)が入っている寮から、それほど遠くない。元気な頃の母を知っている送り主の心遣いだろう。
1981年。画伯80歳の作品。『民家の画家』の名の通り、藁葺き屋根の一軒家。純白の雪が、周囲の野辺や畑にも、斑に積もっている。それほど深くはないらしい。雪の後の青空に白い雲、冬枯れの木立の茶色、意外と多い雑草の緑。灌木らしい茂みに、赤く見えるのは、花だろうか、実だろうか。
当時私も、まだ洛北にいたから、この同じ雪を見たのかもしれない。
印刷となると色調や光沢が微妙に変わってしまうのは常の事。実物とは、いささか異なっているのだろう。それにしても、絵葉書の画面は、不思議な華やぎに満ちている。静かで明るい。 透き通った凛冽の気が、伝わって来るようだ。
向井潤吉は、亡父の好きな画家だった。地味で堅実で丁寧な仕事ぶりに惹かれていたのは、自身の科学系の研究者としての姿勢に通うものがあったからかもしれない。
この一枚の絵葉書は、暫く栞代わりに読みかけの本に挟んでおこう。

薄雲に隠れし冬の昼の月





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